薬剤師の健康・グルメ日記

薬剤師でサプリメントアドバイザーのまっちゃんがヘルシーフードや健康情報、お気に入りのグルメを紹介するブログです。

冬に流行しやすいノロウイルスへの対策(ノロウイルスの特徴、感染経路、予防法、治療法)

 

 

  

 これからノロウイルスの流行しやすい季節がやってきます!ノロウイルスは非常に感染力が強いことで有名です。体内に数個のウイルスが入っただけで感染してしまうことがあるそうです。感染した人が座った便器や、触ったドアノブを経由しても感染することがあるといわれています。

 薬局で働いているとよく対処方法を相談されるので紹介します。

 

目次

 

1.ノロウイルスの特徴

ノロウイルスは基本的には経口(口を経由して)で感染します。嘔吐物や便などの飛沫や空気中に舞い上がった粒子が直接口に入ったり、それらが物や手を経由して口に入ったり、食品(汚染した水の使用、感染した調理者による汚染、汚染された生の二枚貝など)を通して体内に入ります。

 ノロウイルスが感染すると吐き気、下痢、腹痛などが起こります。死亡率はかなり低いですが、持病が悪化したり、脱水になったり、嘔吐物を詰まらせたり、嘔吐物により誤嚥性肺炎になるなどすると死亡する可能性があります。特に、お年寄りや子供注意が必要です。

  病院では、主に周囲の環境や症状からノロウイルスによる感染性胃腸炎かどうか診断されています。また、便の中のノロウイルスを検査キットで検査する方法もあります。3歳未満、 65歳以上の方等を対象に健康保険が使えます。しかし、この検査で陰性だからといって100%感染していないとは言い切れないので、あくまでも診断の補助に用いられす。この検査は医師が医学的に必要と認めた場合だけに行われています。行政ではさらに確実な検査方法を行うことができます。

 

2.予防方法

ノロウイルスにはワクチンがないので予防が非常に重要です。予防対策をご紹介します。

① 手洗いをしっかりする

 手洗いが効果的です。帰宅時、調理前、食事前、トイレ後、汚物処理後などはしっかり実施しましょう。石鹸をしっかり泡立てて、爪の間や指の間など細部まで洗いましょう。石鹸の泡は流水でしっかり洗い流しましょう。石鹸自体にはノロウイルスを殺菌する効果はありませんが、皮脂や汚れなどとともにウイルスを浮かせて物理的に洗い流すことが期待されます。手を洗った後は、使い捨てのペーパータオルなどで水分を拭き取るとよいです。タオルの使いまわしをすると、そこから感染する恐れがあります。すぐに手を洗えない場合などは消毒用エタノールを使いましょう。消毒用エタノールはノロウイルスを殺菌する効果はありませんが、何もしないよりは感染を防止できる可能性があります。塩素系消毒剤は皮膚刺激があるため人体には使用しないようにしましょう。

 ② 2枚貝など感染の可能性が高い食品は十分加熱する

 ウイルス殺菌には85℃以上で60秒間の加熱が必要です。ただし、様々な条件によりウイルス殺菌が妨げられることがありますので、最低でも、食材の中心部分が85℃~90℃で90秒以上は加熱しておきたいですね。安全のためには、より高い温度、より長い時間での加熱をお勧めします。高齢者や子供などのリスクが高い人は感染流行期には2枚貝を食べること自体を避けた方が無難です。

 ③ 調理器具や調理場をしっかり消毒する

 消毒剤による殺菌と加熱殺菌があります。消毒剤で消毒する場合は、通常の洗剤等でよく洗浄し、しっかり洗い流した後、次亜塩素酸ナトリウムを配合した消毒剤を200ppm(0.02%)に希釈したものをペーパータオルなどにしみこませて覆うか、浸すように拭き取ってもよいです。消毒後はしっかりと洗い流しましょう。塩素系洗剤は金属を腐食させることがあります。また、皮膚の刺激になりますので、皮膚には付着しないよう気を付け、付着してしまった場合はしっかりと洗い流しましょう。金属など塩素系消毒剤が適さないものは加熱殺菌するとよいでしょう。加熱殺菌する場合は、最低でも85℃以上の熱湯で60秒以上の殺菌が必要です。

 

3.治療方法

 ノロウイルスに有効な抗ウイルス剤はありませんので、対症療法となります。一番重要なのは脱水防止です。嘔吐や下痢で脱水症状を起こしやすので、水分や電解質をしっかり補給しましょう。症状によっては病院で吐き気止めや整腸剤が処方されることがあります。ただし、下痢止めは、ウイルスの排出を遅らせることにより病気からの回復が遅くなる可能性があるため、基本的には使用されません。

 

4.感染拡大防止対策

 嘔吐物や便を介して感染する場合があります。汚物処理には細心の注意が必要です。感染者の嘔吐物や便には大量のウイルスがいると考えましょう。また、殺菌されない限りは長期間汚物に存在し続けていて、感染力を持っていると想定してください。

 嘔吐物や便が付着したものは必ず廃棄するか、殺菌処理しましょう。処理をする前には必ず感染防護できるもの(使い捨てマスク、手袋、エプロン、ガウンなど)を身に付けましょう。また、汚物が乾燥するとウイルスが空気中に舞い上がるため、しっかり換気したうえで行いましょう。

 汚物はまずペーパータオルなどで周囲に飛び散らないように外から中心に集めてビニール袋に入れます。ビニール袋にはあらかじめ1000ppm(0.1%)に希釈した塩素系消毒剤を入れておきましょう。拭き取ったあとの床も同じ濃度の塩素系消毒剤をしみこませたペーパータオルで覆うか、浸すように拭き取ってください。塩素系消毒剤は金属腐食作用、漂泊作用(色落ち)、皮膚刺激作用があります。取扱いには十分注意してください。汚物、オムツ、拭き取りにつかったペーパータオル、手袋、エプロンなど汚染の可能性のある物は全てビニール袋に入れた後、密封して廃棄しましょう。

 汚染した可能性のある衣類は捨てるのが望ましいですが、消毒する場合は、汚物を飛び散らないよう取り除いた後、洗剤で手洗いします。よくすすいだあと、85℃以上の熱湯で60秒以上殺菌するか、200ppm(0.02%)に希釈した塩素系消毒剤に30分から1時間程度漬け置き洗いしたあと、よくすすぎ洗いします。塩素系消毒剤を使用すると色落ちすることがあるので、加熱殺菌の方が適しています。洗濯している最中も使い捨てマスクなどを着用し、感染には十分注意しましょう。

 

5.塩素系消毒剤の薄め方

 200ppm(0.02%)希釈液の作り方

① ミルトン(1.1%)を50倍希釈する  

● ペットボトル(500ml)にミルトン10mlを量り取り、500mlまで水で薄める。

● ペットボトル(1.5L)にミルトン30mlを量り取り、1.5Lまで水で薄める。

② ビューラックス(6%)を300倍希釈

● ペットボトル(1.5L)にビューラックス5mlを量り取り、1.5Lまで水で薄める。

 

1000ppm(0.1%)希釈液の作り方

① ミルトン(1.1%)を10倍希釈  

● ペットボトル(500ml)にミルトン50mlを量り取り、500mlまで水で薄める。

● ペットボトル(1.5L)にミルトン150mlを量り取り、1.5Lまで水で薄める。

② ビューラックス(6%)を60倍希釈

● ペットボトル(1.5L)にビューラックス25mlを量り取り、1.5Lまで水で薄める。

 

  ノロウイルスの特徴、感染経路、予防法、治療法を正しく理解したうえで対策、対応することが重要です。是非参考にしてください。

 

 

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