「授乳しているんですが、痛み止めはどれがいいですか?」
薬剤師として働いていると結構よく聞かれます。
そんなとき僕がお勧めしているのは、有効成分が「アセトアミノフェン」だけの商品です。パッケージの「成分」の項目を見て「アセトアミノフェン」だけが記載されている商品のことです。普通のドラッグストアには何商品か置いているはずです。例えばその一つが「タイレノールA」です。探すのが面倒くさければ店員さんに聞いてみてください。
その際、注意して欲しいのはアセトアミノフェンは配合されているがそれ以外にも成分が含まれている商品です。問題ない成分もありますが、中には授乳婦が飲めない成分が一緒に配合されている商品もあるので、僕はアセトアミノフェンだけが含有れている商品をお勧めしています。では、なぜアセトアミノフェンをお勧めするかというと以下の3つの理由からです。
1.小児科で最も多く使用される解熱鎮痛剤だから
小児に対して痛み止めや熱さましとして病院で最も多く処方されるのがこのアセトアミノフェンという成分です。つまり、医師からみても小児が服用したときの安全性が高い薬だということです。したがって、母乳中にお薬の成分が出てしまってもリスクが低いと考えられます。
2.添付文書の「服用しないこと」「相談すること」に授乳婦の記載がないから
国が定めた基準に従って、この成分は授乳婦は服用してはいけない、注意が必要だとなれば、お薬の説明書にその旨を記載しなければならないんですが、この成分はその記載が必要ありません。
3.様々な学会で授乳婦が安全に服用できると発表しているから
授乳婦の薬の服用に関して研究している学会が、この成分は授乳婦も安全に服用できると発表しています。
あとは授乳婦さんが飲める風邪薬もよく聞かれますね!
その場合は葛根湯をお勧めしています。これは風邪の初期で寒気や頭痛、肩こりを感じる時にお勧めの漢方薬です。
この薬は授乳婦に対して医師から処方が多い薬ですし、添付文書の「服用しないこと」「相談すること」に授乳婦の記載がない漢方薬です。ただし、麻黄という交感神経を活性化させる生薬が配合されていて赤ちゃんで心拍数が上昇するなどの報告もありますので、赤ちゃんの様子に注意は必要です。
最後に勘違いして欲しくないことを2点お伝えしておきます。
1.母子ともに言えることですが、持病や併用薬によっては上記のお薬が使えないこともあります。
2.お薬を飲む以上100%安全ということはありえないです。普段お薬を飲む際に、「副作用が出るかもしれない」なんて覚悟を持って飲むことはないと思いますが、例え少ない確率であっても、それがお薬である以上、副作用が起きてしまう可能性はあるんです。その前提にたって、今この薬を飲みたいのか、飲むべきなのか、それを判断するのは最終的には自分です。もっとも、多くの副作用は異常を感じた時点で早く対処すれば、重大なことにはならずに済みますが・・・。大切なのは買った薬を飲んでみておかしいと感じたらすぐに専門家に相談することですね。